あ
安否情報 【法第94条、95条】
個人の生死及び負傷の程度の状態、避難住民等の安否に関する情報であり、氏名、生年月日、性別、住所、国籍等の個人を識別するための情報です。
国民保護法では、市町村長は、武力攻撃事態等において、これらの情報を収集・整理し、都道府県知事に報告し、都道府県知事は、報告を受けた情報を総務大臣 に遅滞なく報告することが規定されています。なお、都道府県知事も必要に応じて自ら安否情報の収集・整理し総務大臣に報告を行います。
収集・整理された安否情報について、総務大臣及び地方公共団体の長は、個人情報の保護に十分留意したうえで、国民からの照会があったときには、速やかに回答することとされています。
安否情報システム
武力攻撃事態等において、避難所等に避難された方等の安否情報をシステムに登録し、国民からの照会に対して、消防庁・都道府県・市町村が回答する際に使用するシステムをいいます。
NBC攻撃(エヌ・ビー・シー攻撃)
核兵器(Nuclear weapons)、生物兵器(Biological weapons)、化学兵器(Chemical weapons)を使用した攻撃のことです。
NBC災害
NBC攻撃によって引き起こされた、武力攻撃災害又は緊急対処事態における災害のことです。
応急公用負担 【法第113条】
行政機関が、武力攻撃災害への対処に関する措置を講ずるため緊急の必要があると認める場合、他人の土地、建物その他の工作物を一時使用し、又は土石、竹木その他の物件を使用し、若しくは収用することをいいます。
か
化学剤
化学兵器として使用される有毒な化学物質のことで、主なものとしてサリン、マスタードガス、ルイサイト、シアン等があります。
基本指針 【法第32条第1項】
「国民の保護に関する基本指針」といい、政府が武力攻撃事態等に備えて国民保護措置の実施に関し、あらかじめ定めた基本的な方針です。
この基本指針に基づいて、指定行政機関、都道府県の国民保護計画及び指定公共機関の国民保護業務計画が策定され、さらに、都道府県の計画に基づき、市町村 の国民保護計画及び指定地方公共機関の国民保護業務計画が策定されます。基本指針は、これらの計画の上位に位置し、指針的な内容が記載されています。
救援 【法第75条第1項】
都道府県知事又は政令指定都市市長が、国民保護計画で定めるところにより、区域内の避難住民や武力攻撃災害等の被災者に対して、衣食住等を確保するために行う措置のことをいいます。具体的には、避難所等の供与、食品の給与及び飲料水の供給、医療の提供、被災者の捜索及び救出、などがあります。
緊急対処事態 【事態対処法第25条】
武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態または当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態で、国民の生命、身体及び財産を保護するため、国家として緊急に対処することが必要な事態をいいます。
緊急対処事態対策本部 【法第183条】
緊急対処事態対策本部は、緊急対処事態において、内閣総理大臣から緊急対処事態対策本部を設置すべき地方公共団体の指定を受けた場合に、当該都道府県及び市町村に設置されます。その他、国民保護対策本部に関する規定が準用されます。
緊急対処事態対処方針 【事態対処法第25条】
緊急対処事態に至ったときに、政府がその対処に関して定める方針のことをいいます。
緊急対処事態対処方針が定められて、初めて緊急対処事態の発生が認定され、都道府県緊急対処事態対策本部を設置すべき都道府県及び市町村緊急対処事態対策本部を設置すべき市町村が決定されます。
緊急対処保護措置 【法第178条】
緊急対処事態において、対処基本方針が定められてから廃止されるまでの間に、指定行政機関、地方公共団体又は指定公共機関若しくは指定地方公共機関が法律の規定に基づいて実施する国民の安全確保等に係る措置のことです。市町村においては、法第178条に措置義務が定められています。具体的な措置の内容は、国民保護措置に準じます。
緊急通報 【法第99条】
武力攻撃災害や緊急対処事態における災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、都道府県知事が、住民の生命、身体又は財産に対する危険 を防止するため緊急の必要があると認めるときに、国民の保護に関する計画で定めるところにより、発令するものをいいます。緊急通報の内容は、武力攻撃災害 又は緊急対処事態における災害の現状及び予測、その他住民及び公私の団体に対し周知させるべき事項です。
警報との違いは、発令主体が警報では国の対策本部長(内閣総理大臣)であるのに対し、緊急通報は都道府県知事であること、警報が比較的広範囲の地域を対象 とし、場合により地域を特定せず発令されることもあるのに対し、緊急通報は限定された地域を対象としている、といった点です。
一方、住民等への伝達や、放送事業者による放送などは、警報の規定が準用されます。
警戒区域 【法第114条】
関係者以外の立入りの制限もしくは禁止、または退去命令を行うことができる区域のことです。武力攻撃災害による住民の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときに市町村長が設定します。
警報 【法第44条】
国の対策本部長(内閣総理大臣)が、武力攻撃災害や緊急対処事態における災害から国民の生命、身体又は財産を保護するため緊急の必要があると認めるとき に、基本指針及び対処基本方針等で定めるところにより発令するものをいいます。警報の内容は、武力攻撃事態等又は緊急対処事態の現状及び予測、攻撃が迫り 又は攻撃が発生したと認められる地域、その他住民及び公私の団体に対し周知させるべき事項です。
警報は、直ちに指定公共機関や都道府県知事、市町村長などに通知され、市町村長は、サイレンや防災行政無線等の手段を活用して、速やかに住民等へ伝達する こととされています。また、指定公共機関等の指定を受けている放送事業者は、すみやかに警報の内容を放送することとされています。
現地対策本部 【法第28条第8項】
都道府県知事又は市町村長は、それぞれの国民保護計画の定めるところにより、都道府県対策本部又は市町村対策本部の設置場所と被災地との間の連絡調整や被災現地における機動的かつ迅速な措置の実施を図るため、現地対策本部を設けることができます。
現地調整所
都道府県知事又は市町村長は、それぞれの国民保護計画の定めるところにより、武力攻撃災害や緊急対処事態における災害が発生した場合、その被害の軽減及び現地において措置に当たる要員の安全を確保するため、現地における関係機関(県、消防機関、県警察、海上保安部、自衛隊、医療機関等)の活動を円滑に調整する必要があると認めるときに、現地調整所を設置することができます。
国民保護法
法律の正式名称は、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」。平成16年6月14日に成立し、同年9月17日に施行されました。
武力攻撃事態等及び緊急対処事態において国民の生命・身体・財産を保護するため、国や地方公共団体等の責務、住民の避難に関する措置、避難住民等の救援に 関する措置、武力攻撃災害等への対処に関する措置及びその他の国民保護措置等に関し必要な事項を定めています。
国民保護協議会 【法第37条~第40条】
都道府県又は市町村における国民の保護のための措置に関する重要事項を審議するとともに、国民保護計画を作成するための諮問機関をいいます。
国民保護計画 【法第33条~第35条】
政府が定める国民の保護に関する基本指針に基づいて、都道府県、市町村及び指定行政機関が作成する計画のことをいいます。
計画のなかで国民の保護のための措置を行う実施体制、住民の避難や救援などに関する事項、平素において備えておくべき物資や訓練等に関する事項などを定め ます。都道府県及び市町村の計画の作成や変更に当たっては、それぞれの国民保護協議会に諮問するとともに、都道府県計画と指定行政機関の計画は内閣総理大 臣に、市町村計画は都道府県知事にそれぞれ協議することになっています。
国民保護業務計画 【法第36条】
指定公共機関が基本指針に基づき又は指定地方公共機関が都道府県の国民保護計画に基づき作成する計画のことをいいます。
各機関が実施する国民の保護のための措置の内容と実施方法、国民の保護のための措置を実施するための体制に関する事項、関係機関との連携に関する事項など について定めます。業務計画を作成したときは、指定公共機関は内閣総理大臣に、指定地方公共機関は都道府県知事にそれぞれ報告することになっています。
国民保護措置 【法第10条~第11条、第16条、第21条】
武力攻撃事から国民の生命、身体及び財産を保護するため、または武力攻撃が国民生活及び国民経済に影響を及ぼす場合において、その影響が最小となるようにするための措置のことをいいます。例としては、住民の避難に関する措置、避難住民等の救援に関する措置、武力攻撃災害の復旧に関する措置などです。
国民保護対策本部 【法第25条~第31条】
国民保護対策本部は、武力攻撃事態等において、内閣総理大臣から国民保護対策本部を設置すべき地方公共団体の指定を受けた場合に、当該都道府県及び市町村 に設置されます。当該都道府県知事及び市町村長が対策本部長となり、当該都道府県または市町村の区域に係る国民の保護のための措置を総合的な推進のための 特別な体制として、臨時に設置される機関です。
なお、国が国民保護対策本部を設置すべき都道府県及び市町村として指定していない場合において、当該都道府県及び市町村に国民保護対策本部を設置すべきと 考えるときは、当該都道府県知事(市長村長は都道府県知事を経由)は、内閣総理大臣に対して、本部の指定を要請することができます。
さ
自主防災組織
地震などの大規模災害時に地域住民が自主的な防災活動を行うことを目的として自発的に結成された防災組織をいいます。
事態認定
武力攻撃事態、武力攻撃予測事態、又は、緊急対処事態であることを政府が認定することをいいます。
指定行政機関
内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法、国家行政組織法等で規定する国の行政機関のうち、政令で定めるもので、平成22年4月現在、内閣府、国家公安委員会、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、消防庁、法務省、公安調査庁、外務省、財務省、国税庁、文部科学省、文化庁、厚生労働省、農林水産省、林野庁、水産庁、経済産業省、資源エネルギー庁、中小企業庁、原子力安全・保安院、国土交通省、国土地理院、観光庁、気象庁、海上保安庁、環境省及び防衛省が指定されています。
指定公共機関
独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令及び内閣総理大臣公示で指定されています。
なお、平成22年4月現在、151機関が指定されています。
指定地方行政機関
指定行政機関の地方支分部局その他の国の地方行政機関で、政令で定めるもので、平成22年4月現在、沖縄総合事務局、管区警察局、総合通信局、沖縄総合通信事務所、財務局、税関、沖縄地区税関、原子力事務所、地方厚生局、都道府県労働局、地方農政局、北海道農政事務所、森林管理局、経済産業局、産業保安監督部、那覇産業保安監督事務所、地方整備局、北海道開発局、地方運輸局、地方航空局、航空交通管制部、管区気象台、沖縄気象台、管区海上保安本部、地方環境事務所及び地方防衛局が指定されています。
指定地方公共機関
都道府県の区域において電気、ガス、輸送、通信、医療その他の公益的事業を営む法人、地方道路公社その他の公共的施設を管理する法人及び地方独立行政法人で、あらかじめ当該法人の意見を聴いて当該都道府県の知事が指定するものをいいます。
ジュネーヴ諸条約
武力紛争が生じた場合に、傷者、病者、難船者及び捕虜、これらの者の救済にあたる衛生要員及び宗教要員並びに文民を保護することによって、武力紛争による被害をできる限り軽減することを目的とした4条約の総称です。日本は、1953年4月21日に加入しました。
生活関連等施設 【法第102条】
発電所、浄水施設、危険物の貯蔵施設など国民生活に関連のある施設で、その安全を確保しなければ国民生活に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる施設又はその安全を確保しなければ周辺地域に著しい被害を生じさせるおそれがあると認められる施設(危険物を取扱う施設等)をいいます。
生物剤
人や動物を殺傷したり、植物を枯らしたりすることを目的とした細菌やウイルスなどの微生物及び細菌や動植物などが作り出す毒素のことをいいます。
赤十字標章
ジュネーヴ諸条約第一追加議定書第8条(l)に定められている、白地に赤十字の標章のことをいいます。同議定書において、医療要員、医療組織等が赤十字標章を使用することにより、敵国の攻撃から保護されることが定められています。
なお、赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律(赤十字標章法)において、赤十字標章の濫用禁止が定められていますが、国民保護法第157条で は、濫用禁止の解除規定として、指定行政機関の長、都道府県知事又は政令指定都市市長が医療関係者等に対して赤十字標章を交付し使用させることができるこ とを定めています。
た
ダーティボム
放射性物質を散布することにより、放射能汚染を引き起こすことを意図した爆弾のことをいいます。
対処基本方針 【事態対処法第9条】
武力攻撃事態等に至ったときに、政府がその対処に関して定める基本的な方針のことをいいます。
対処基本方針が定められて、初めて武力攻撃事態等の発生が認定され、都道府県国民保護対策本部を設置すべき都道府県及び市町村国民保護対策本部を設置すべき市町村が決定されます。
対処措置 【事態対処法第2条第7号】
対処基本方針が定められてから廃止されるまでの間に、指定行政機関、地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関が法律の規定に基づいて実施する措置をいい、武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する侵害排除活動や国民の生命、身体及び財産を保護するための国民保護措置などがあげられます。
退避の指示 【法第112条】
武力攻撃災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、市町村長(必要に応じ、都道府県知事)が、当該武力攻撃災害から住民の生命、身体若しくは 財産を保護し、又は当該武力攻撃災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときに、必要と認める地域の住民に対して行う指示をいいます。
避難の指示が、国の対策本部長(内閣総理大臣)の避難措置の指示を受けて行われるものであるのに対し、退避の指示は、武力攻撃災害に伴う目前の危険を一時 的に避けるため、特に必要がある場合に地域の実情に精通している市町村長の独自の判断で住民を一時的に退避させるために行われるものであります。
特殊標章 【法第158条】
ジュネーヴ諸条約第一追加議定書第66条3に定められている、オレンジ色地に青の正三角形の標章のことをいいます。同議定書にでは、文民保護の任務に従事する者が特殊標章を使用することにより、敵国の攻撃から保護されることが定められています。
国民保護法第158条では、濫用禁止規定を置くとともに、都道府県知事又は政令指定都市市長が国民保護措置等に係る職務を行う者等に対して特殊標章を交付し使用させることができる旨、定めています。
【特殊標章】
は
避難先地域 【法第52条第2項第2号】
住民の避難先となる地域のことをいいます。(住民の避難の経路となる地域を含む。)
国の対策本部長(内閣総理大臣)は、避難措置の指示を行う場合には、避難先地域を示すこととされています。
避難施設 【法第148条】
住民の避難及び避難住民等の救援の用に供する施設として、都道府県知事又は政令指定都市市長があらかじめ指定した施設のことをいいます。
避難実施要領 【法第61条】
都道府県知事から避難の指示を受けた市町村長が、関係機関の意見を聴いて、避難の経路、避難の手段その他避難の方法などに関して定める要領のことをいいます。市町村長は、避難実施要領を定めたときは、直ちに住民等に通知することとされています。
武力攻撃 【事態対処法第2条第1号】
我が国に対し、外部から、国又は国に準ずる者により、組織的・計画的に行われる武力攻撃をいいます。
武力攻撃災害 【法第2条第4項】
武力攻撃により直接又は間接に生ずる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出その他の人的又は物的災害のことをいいます。
武力攻撃事態 【事態対処法第2条第2号】
武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態をいいます。
武力攻撃事態対処法(= ●事態対処法)
法律の正式名称は、「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」で、平成15年6月6日に成立し、同月13日に施行されました。
武力攻撃事態等(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態)への対処について、基本理念、国・地方公共団体等の責務、国民の協力その他の基本となる事項、武力攻撃事態への対処に関して必要となる法制の整備に関する事項などを定めています。
この法律の規定を受け、国民保護法ほか有事関連七法が整備された。
武力攻撃事態等 【事態対処法第1条】
武力攻撃事態と武力攻撃予測事態のことをいいます。
武力攻撃事態等対策本部 【事態対処法第10条】
対処基本方針が定められたときに、当該方針に係る対処措置の実施を推進するため、閣議にかけて臨時に内閣に設置される組織をいいます。内閣総理大臣が対策本部長となります。
国の行政機関が実施する対処措置を統括するだけでなく、地方公共団体や指定公共機関の実施する対処措置についても総合的に推進します。
武力攻撃予測事態 【事態対処法第2条第3号】
武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいいます。